【名古屋市千種区】「水の歴史資料館」で夏休み特別展示「戦禍と上下水道 ~戦後80年、平和について考えよう~」を開催中です!(8/31まで)

戦禍と上下水道

「戦禍と上下水道」~戦後80年、平和について考えよう~ チラシ(水の歴史資料館様ご提供)

千種区月ヶ丘の「水の歴史資料館」で、現在夏休み特別展示「戦禍と上下水道 ~戦後80年、平和について考えよう~」を開催中です! 2025年8月31日(日)まで展示されています。入場無料です。

今年は終戦から80年の区切りの年です。戦争中も名古屋市の上下水道事業は継続されていましたが、どうやって戦禍を乗り越えてきたかということが展示されています。また「平和の大切さ」を学ぶための子ども向けの展示もありますので、ぜひ親子で夏休みに行ってみてください。自由研究の題材にぴったりですよ。

「水の歴史資料館」とは?

水の歴史資料館

水の歴史資料館

「水の歴史資料館」は名古屋市上下水道局が上下水道事業の100周年を記念して整備した施設です。名古屋市の上下水道事業の歴史や役割、防災について学べる施設です。

地下鉄「覚王山」駅または「自由ヶ丘」駅からは徒歩17分とちょっと離れているので、市バスが便利です。「月ヶ丘」停下車徒歩2分、または「天満通二丁目」停下車徒歩5分、「谷口」停下車徒歩14分です。駐車場は18台分ありますので、車で行った方が便利かもしれません。

「水の歴史資料館」について詳しく書いた昨年8月の記事がありますのであわせてご覧ください。無料で楽しく学ぶことができる施設です。私は取材で何度も訪れているので名古屋市の水道についてはかなり詳しくなりました♪

水の歴史資料館
千種区には名古屋市の上下水道関連の施設や水にまつわるスポットが数多くあります。その中心的な学習施設、「水の歴史 …

水の歴史資料館

「水の歴史資料館」に行くと「マンホールカード」が無料でもらえます。全国の自治体で発行されているマンホールカードは、ご当地デザインマンホールが印刷されている人気カード。現地に行かないともらえないので、コレクションするには熱意が必要! ほしい方は受付で「マンホールカードをください」と申し出てください。

また「なごや得ナビ」の粗品ももらえるそうですので、ドニチエコきっぷや一日乗車券などをお持ちの方は受付でお申し出ください。

マンホールカード

水の歴史資料館のマンホールカード

これは私が去年の取材時にいただいたマンホールカードです。私の取材中にも何人ももらいに来ている方がいらっしゃいました。名古屋市では他に北区の「メタウォーター下水道科学館なごや」でも配布しています。こちらでは「アメンボデザイン」のマンホールカードを配布しています。

「戦禍と上下水道 ~戦後80年、平和について考えよう~」展示内容

戦禍と上下水道

「戦禍と上下水道」展は入口ホールで開催されています。このホール以外の展示室には常設展示があります。

戦禍と上下水道

向かって左側が大人向けの展示です。

戦禍と上下水道

右側は子ども向けの展示です。

大人向け展示を見てみよう

戦禍と上下水道

大人向け展示では、戦争中に名古屋市の上下水道事業がどのように戦禍を乗り越えたかが解説されています。現在世界中で戦争が起こっていますが、インフラを破壊され上下水道の利用が困難になり、生活や公衆衛生に深刻な影響が出ている地域も少なくありません。「平和あっての上下水道」、水の大切さについても考えてみましょう。

【度重なる空襲被害】

戦禍と上下水道

名古屋市は航空機産業を中心とした軍需工場の一大集積地でした。そのため戦争中は繰り返しアメリカ軍の空襲を受けました。特に「水の歴史資料館」から北に1kmほど行ったところにある「鍋屋上野浄水場」辺りから、西の「千種公園」までの一帯は軍需工場が集まっていたため、空襲の被害が大きかったそうです。鍋屋上野浄水場も爆撃を受け、一時送水が出来なくなる状態になったそうです。旧第一ポンプ所には砲弾跡が残っているそうです。千種公園にも爆撃痕のあるコンクリート塀が残っています。

【参考動画】↑名古屋市が製作した「なごや平和の日(5月14日)」について知ってもらうための動画です。お笑い芸人のパンサー 向井慧さんをストーリーテラーとし、名古屋にゆかりのある若手アーティスト・俳優の6人が、戦時中の映像や写真にタイムスリップしながら、名古屋空襲の跡地をめぐるショート動画シリーズです。こちらの第5回で千種公園のコンクリート塀が紹介されています。

戦禍と上下水道

戦禍の残るゲート

これは返送汚泥ポンプ井の汚泥量を調節するためのゲートです。緑色の矢印のところに太平洋戦争中の空襲で機関銃によってつけられた穴が空いています。

空襲で浄水場を攻撃されたため、80%の漏水により一時は水圧が0になり、名古屋市内への給水ができなくなったそうです。その後水漏れしながらも給水は継続されましたが、終戦後の1953年でも30%の漏水があったそうです。

戦禍と上下水道

地下工場給水施設工事担当者招集延期延期申請ノ件(昭和20年8月3日)

「水の歴史資料館」には昔の水道局関連の書類が多数保管されています。これは終戦直前の書類ですが、軍から委嘱された地下工場への給水工事に携わる職員が足りないので、招集を待ってほしい、という請願です。戦争が激化するに連れて徴兵される市の職員が増加し、残った職員だけで業務を遂行しなければならなかった厳しい状況が分かります。

戦禍と上下水道

東区山田町四丁目西町内會退避壕見取図

空襲は軍需工場だけではなく、一般市民の居住区も狙われました。この地図では空襲の際に退避する退避壕の所在地(赤色)と、どの家がどの退避壕に退避するかが示されています。青色は五石以上の水槽の位置です。

戦禍と上下水道

消化弾・消化瓶・防火用バケツ

昔は今のような消火器はなく、このようなガラス瓶を火に投げつけて消火していたのですね。瓶の中身は塩化アンモニウムだそうです。こういうものは初めて見ました。
防火用バケツは、井戸から「バケツリレー」で水を渡す様子をドラマなどで見たことがある方も多いのでは?

子ども向け展示

戦禍と上下水道

子ども向けの展示コーナーでは、戦争について子どもでも分かりやすいように解説しています。

戦禍と上下水道

当時の子ども向けの軍国主義的な出版物も展示されています。このコーナーは非常に興味深かったです。

戦禍と上下水道

「コドモノクニ」1938年6月

「コドモノクニ」(1922~1944)は児童向けの雑誌です。子供のために描かれる童画という絵画ジャンルの確立に寄与した大正時代を代表する絵雑誌で、北原白秋や野口雨情などの童謡、本田庄太郎や竹久夢二、岡本帰一などの童画が掲載されました。大正モダニズムを背景とした芸術性・デザイン性の高い誌面は、子ども向けという範疇を超えた新たな芸術総合雑誌として高い評価を受けたそうですが、昭和に入るとこのような軍国主義的な表紙になっていったのですね。

戦禍と上下水道

「小国民のための大東亜戦争記念絵図」1942年8月

戦争前半の戦果を描いたマップブックのようなものです。戦争の新聞記事を貼り付けるページ、戦果の記録を書き込むページもあるそうです。実際の戦争をウォーゲームのように扱っているので、子どもはいとも容易く軍国少年になりそうです。

戦禍と上下水道

「軍隊教育絵ほどきセット」

初年兵の入隊から除隊までの出来事をマンガ絵ハガキにしたものだそうです。徴兵制度の対象年齢は20歳以上の男子でしたが、戦況の悪化に伴い、年齢が引き下げられたり学生も対象になったりしたそうです。軍隊生活シミュレーションのようなものですね。

戦禍と上下水道

「新東亜建設双六」(東日小学生新聞付録)

「聖戦へ出発」の振り出しから始まり、「敵陣占領」して「新東亜建設の喜び」で上がり、というすごろくです。「新東亜建設」というのは「大東亜共栄圏」構想の実現を目指すもので、軍国主義プロパガンダ100%のすごろくです。小学生新聞の付録にこんなものが付いていたとは、当時のマスコミも軍国主義教育に進んで協力していたのがよく分かります。

戦禍と上下水道

羽子板と羽根(1940年~45年)

羽子板に日独伊の国旗が付いています。現状でははがされていますが、ドイツの国旗はナチスの鉤十字です。日本が日独伊三国同盟を結んでいたのは当然知っていましたが、実際に当時のものを見ると、子どものものであることが輪をかけてグロテスクです。

戦禍と上下水道

戦時中、名古屋市民日参団の子どもたちが日の丸や武運長久の旗(出征旗)を持って熱田神宮を参拝する様子です。

戦禍と上下水道

右は鶴舞公園での毒ガスに対する防毒訓練の様子だそうです(1939年)。現在の私たち名古屋市民の憩いの場である熱田神宮や鶴舞公園が、このような使われ方をしていたのですね。再びこんな風にならないようにしなければ。

戦禍と上下水道

戦争と平和についての子ども向けの本もあります。資料室や会場の椅子で読むことができます。

ビデオも上映

戦禍と上下水道

会場では名古屋市と広島市が作った映像が上映されています。

戦禍と上下水道

こちらは名古屋市制作のビデオです。子どもの時に疎開した体験を話していらっしゃいます。

戦禍と上下水道

こちらは広島市制作のビデオです。

冷たい「金鯱水」でほっと一息♪

戦禍と上下水道

戦争という重い展示内容でしたが、ここでちょっと一息。「水の歴史資料館」ではキンキンに冷えた名古屋市の美味しい水道水「金鯱水」を飲むことができます。

戦禍と上下水道

冷たくて美味しい! 名古屋市の水道水は良好な水質の木曽川から運んだ水を浄水処理して作っているのでとても美味しいそうです。マイボトルに入れることもできるそうです。

戦禍と上下水道

名古屋市内の平和教育施設のチラシもいろいろ置いてありました。こちらは久屋大通公園や愛知県庁の近くにある「愛知・名古屋 戦争に関する資料館」のチラシです。今回の「戦禍と上下水道」展の展示物はこちらからお借りしたものも多いそうです。夏休みの企画展示にもぜひどうぞ。チラシ

戦禍と上下水道

こちらは名東区にある「-戦争と平和の資料館-ピースあいち」のチラシです。こちらの企画展にも行ってみてください。3館回れば夏休みの自由研究のアイデアがたくさん浮かびそうですね!

また「水の歴史資料館」の周りにはあまりお店がなかったのですが、2025年4月にお向かいにピッツェリア「ボニッシモ」がオープンしました! とっても美味しいユニークなピザが食べられますので、帰りにランチをいただいても♪

ボニッシモ
覚王山にもうすぐオープンするユニークなピッツェリア「ボニッシモ」に、一足早くお邪魔しました! グランドオープン …

一向に終わりの見えないウクライナやガザの戦争に加え、インドとパキスタン、タイとカンボジアでも紛争が起き、アフリカでは内戦と、現在世界中で戦争が起こっています。戦後80年のこの夏休み、戦争と平和について、親子でじっくりと考えてみませんか?

*水の歴史資料館 副館長様、取材にご協力・ご解説いただき誠にありがとうございました。

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